シドニーの釣り


僕がオーストラリアに来た当時釣りには全く興味が無く、思い出といえば父に連れられて、乗合船で釣りに行った時の苦しい船酔いでした。 そんなわけで、シドニーの周辺には沢山の釣りのスポットがあるのは知っていましたが、いつまでたっても釣りをしようなんて考えてもいませんでした。

ところがある朝公園にジョッギング行った時の事です、繁華街のすぐ裏手にある小さな湾で(繁華街のすぐ裏手が湾て言うところがシドニーなんですよね)釣り糸をたれている女性が、目の前で魚と格闘していました。 かなりの大物だということは興味の無い僕でも分かります。 立ち止まって見ていると、何とかなりの大きさのシマアジを釣り上げたのです。
シマアジというのは日本でも高級魚、ロンドンから来たばかりの僕にとってはめったに食べた事もありません。 「ナニーッ!!!」こんな種類の魚が、こんな繁華街の裏手の入り江で釣れてしまうのか? 東京生まれの僕は、フェリーなどが行き交う湾の中には魚がいたとしても、せいぜいアジか黒鯛くらいと思っていましたから、本当にその瞬間です「釣りをやるぞー」って決めたのは。

オーストラリアに来た当時、ロンドンにでは手に入らない種類の魚が店に並んでいて、それだけでも嬉しかったのですが、当時寿司なんてほとんど知られていない頃で、漁師も、魚市場も、魚屋も魚の扱いを知らないと言うか、せっかく捕れたての魚でも寿司には使えないような状態で売られていました。
ですから、湾内でシマアジが釣れてしまうのなら、自分で捕れば素晴らしい刺身や寿司が作れると考えたのです。 釣りには興味が有る無いではなく、新鮮な魚がタダで手に入るっていう感覚です。

それ以来(これが僕の性格なのですが)釣りに一気にのめりこみました。 
週末は必ず夜明け前に起きて色んな釣り場を回ったものです。 そうこうするうちに、ある日本人と知り合い、その人の持っているゴムボートで岸からは届かない湾内の深場に行くようになると、やはり形も一回り大きくなるだけでなく、なんとヒラマサなど、岸からは考えられないような種類の魚も釣れるのです。 行く度に数日分の晩御飯のおかずは充分間にあうような量を捕ったものです。

続く